フィリピンの投資環境とは?メリットやデメリットなどからみる最新情報をご紹介

フィリピンで不動産投資をしようと考えている方にとって、現状や今後の見通しといった投資環境は気になるところ。今回は投資すべきポイントや留意点からその投資環境を見ていきます。 どのような点が注意すべきポイントなのか考えながら、ご自身の投資に役立ててください。

目次

フィリピンの基本情報


それではまずフィリピンの基本情報から見ていきましょう。
人口・・・1億324万人(2016年)
国土・・・面積は299,404㎢、7107もの島々からなる
首都・・・マニラ首都圏(全人口の12.4%が集中)
気候・・・熱帯海洋性気候(6月~11月雨季・12月~2月乾季)平均気温27度
民族・・・マレー系・スペイン系・中国系・他少数民族
言語・・・フィリピン語と英語が公用語(80前後の方言がある)
宗教・・・カトリック教80%・その他のキリスト教10%・イスラム教5%
教育・・・義務教育は13年(大学進学率は35%・識字率は96%)
政治・・・大統領を元首とする共和制国家 現在の大統領はロドリゴ・ドゥテルテ
産業・・・農林水産業(22%)・サービス業(58%)
貿易・・・輸出(半導体、輸送用機器)輸入(原料、中間財、燃料、電子機器)

フィリピンに投資すべき5つのメリット


それではフィリピンに投資すべきポイントを踏まえながら、フィリピンの投資環境について見ていきます。フィリピンという国がもともと持っているポテンシャルに加え、日本人にとってメリットがあるという点も無視できません。これらはフィリピンへの投資を考えるうえでの後押しになるでしょう。

フィリピン政府が外国資本を奨励している

フィリピンでは外国からの資本の参入を奨励しており、基本的に外資100%でも会社設立が可能です。

またフィリピン経済区庁(PEZA)などの政府機関による投資優遇措置が整備されています。例えば一定の条件下であれば法人税が最長8年まで免除されることや、5%の特別優遇法人税率、VAT(付加価値税)の免除やPEZAの許可を受けた工業団地もしくはビルに入居できるなどのメリットがあります。

フィリピンに進出している日系企業の多くがこのような優遇措置を受けており、進出している企業からの評価も高くなっています。

高いDGP成長率

フィリピンでは2000年代半ばから、海外出稼ぎ労働者の送金の増加やBPO(Business Process Outsourcing)をはじめとするサービス業の拡大で、高いGDP成長率が続いています。特に2011年以降は一人当たりのGDPが2,000米ドルを超え、2018年には3,000ドルを突破。経済規模は21世紀に入ってから約4倍といずれも高い上昇率となっています。

それにより乗用車をはじめとする耐久消費財が急激に普及し、低迷する輸出産業を支えています。
また政府も数々の経済政策を打ち出し、個人所得税の引き下げなどから国内の貧困率を下げる取り組みもしています。ゆくゆくは海外からの企業誘致を進めるべく、法人税の税率引き下げを目指しています。

豊富な労働人口と安い人件費

こうした高いGDP成長率の背景には、フィリピンの人口増加が大きくかかわっています。フィリピンでは生産年齢とされる15歳~65歳までの人口が増加傾向にあります。特に1990年代から始まった人口爆発により、2040年には日本の人口を超え2092年まで増え続けるとされています。いわゆる「人口ボーナス」が21世紀半ばまで続くという見込みで、このような点からもフィリピンの将来性に期待する声が大きいようです。

下記のグラフでも分かるように労働力が豊富なフィリピンでは、当然ながら労働コストは安くなります。フィリピンに進出した際のスタッフの確保が容易であるだけでなく、賃金上昇率は他のアジアの国々と比べても4%代と低いのが特徴です。

公用語が英語

公用語の一つが英語であるフィリピンでは、世界とのコミュニケーションのしやすさがメリットとして挙げられます。日本のように外国語として勉強しなおす必要がないため、フィリピンに進出している日本企業では、フィリピン人従業員をすぐに最前線で活躍させることが可能だと考えています。

業務プロセスの一部を外部に委託するBPO産業においては特に有利です。コールセンターをはじめとし、ソフトウエア開発やアニメ、ゲーム制作など英語圏の企業のBPO誘致が可能に。フィリピンではアメリカに近いアクセントの英語を話すことから、アメリカ企業のコールセンターが軒並みフィリピンに移りました。今ではコールセンター業務において、フィリピンのBPOサービスが世界の売上ナンバーワンになっています。

親日家が多い

日本人が外国で仕事をする際にやりやすいと感じるかどうかは、対日感情が大きく左右されます。 その点、フィリピンでは日本に対して好意的な印象を持っているのが分かります。上の図は2019年に調査した日本に対する好感度調査です。これを見るとフィリピンがイギリスに続いて日本に対して高い好感度を持っているということが分かります。 日本との領土問題を抱える中国や韓国では、こうした問題により反日感情が高まった末に日系企業の運営に悪い影響を及ぼすということが考えられます。しかしフィリピンではこうした懸念がないため、比較的スムーズに事業活動を展開していけるのではないでしょうか。

フィリピン投資に関するデメリットとは


ではフィリピン投資に際しての留意点とは何でしょうか? 外国で不動産投資を希望する方は、これからご紹介するような投資環境の注意すべきポイントも押さえておきましょう。

インフラの未整備

フィリピンでいま最も課題となっているのが、電力インフラと道路網のインフラの整備です。

フィリピンではいまだに電力の需要と供給のバランスが整っておらず、周辺諸国に比べ電気料金が約2倍となっています。また時おり停電も発生するなど電力の供給や質が不安定なのが現状。

そこで2016年に就任したドゥデルテ大統領は「ビルト・ビルト・ビルト」と呼ばれる大規模インフラ計画をスタートさせました。電力はもちろん地下鉄や高速道路、橋や空港ターミナルなどの大規模な公共工事が行われており2022年の完成を目指しています。
しかしその進捗状況は順調とは言えないようです。

多くの建築現場で熟練の作業員が不足しており、重要プロジェクト75のうち完了しているのが2つ、途中の工事が9つしかありません。

土地所有の規制

フィリピンは土地所有への規制が厳しいことでも知られています。それは基本的に外国企業や外国人による土地の所有は認められていないためです。もし外国人が土地を所有したいなら、フィリピン人が60%以上の資本を所有するか、外国資本を40%以下にするという条件が必要になります。

とはいえ土地をリースしてその上の建物を建てるのは問題ありません。フィリピンで事業をする際にどうしても土地が必要ならこのような方法を取ることになります。

またフィリピンの不動産所有権は日本よりも厳しい登記法となっています。これはアメリカの植民地だったことが影響しており、契約事はなんでも書面で残すという慣習から来ています。こうした点からもフィリピンは外国人が安心して不動産を購入できると言えるのではないでしょうか。

治安が悪い

フィリピン投資に関する留意点の最後は治安の悪さです。特にミンダナオ地方ではイスラム過激派による爆弾テロや身代金目的の誘拐事件が発生しています。また首都のあるマニラでもスリやひったくりなどが続発。銃の所持が認められているフィリピンでは、日本で起こりえないような事件に遭うことがあるかもしれません。 いずれにせよ日本は特別安全だということを頭において、夜一人では出歩かない、必要以上の金品を持ち歩かない、派手な恰好を控えるなどの対策が必要です。

まとめ


今回はフィリピンに投資すべきポイントや留意点から投資環境を見てきました。フィリピンでは人口増加や安い労働力を背景に経済が急成長してきました。外国資本を奨励する政策や親日家であるということも、投資をする上では優位です。

一方で治安やインフラ、土地所有の規制などの留意点もあるので、フィリピンの不動産に投資をする際は十分に考慮が必要になります。