海外不動産を扱う投資家にとって、フィリピンは注目すべき投資先の一つです。この記事をご覧になっている方の中にも、フィリピンの不動産購入を考えている方が多いのではないでしょうか?
今回はフィリピンの不動産市況をひも解きながら、フィリピン不動産が投資先として適しているのかを解説していきます。
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目次
フィリピンの不動産マーケットの特徴とは
財閥が強いため投資エリアが限られる
- 1. マカティ市
- 2. ボニファシオ・グローバルシティ(BGC)
- 3. オルティガス中央商業地区(CBD)
- 4. ベイシティ
- 5. ロックウェル地区
この5つにエリアのうち①マカティ市と②BGCはフィリピン国内で最大規模の財閥「アヤラグループ」が開発しました。また③CBDの中心地にあるオルティガスセンターは財閥「オルティガス・グループ」の不動産部門を担うオルティガス&カンパニーが開発。
さらに⑤ロックウェル地区も「ロペス財閥」が管理運営しています。最近では日本の三井不動産グループと共同でコンドミニアム開発を行っています。
このようにフィリピンでは財閥系の不動産デベロッパーがこれら重点地区を数多く開発しています。豊富な資金力で大規模開発を行えるので、プレビルド物件のマイナス面である計画途中の頓挫は少ないかもしれません。
ただし今後も物件価格が上昇することが予想され、新たに開発されるエリアが限られてくるため、供給過剰になってしまう可能性があります。
経済成長に伴い不動産の価格が上昇
財閥が行う一括管理の不動産が多いことよる不動産価格の上昇の他にも、フィリピンには価格を押し上げる様々な要因があります。
フィリピン統計局によるとGDP成長率は、2016年に6.9%、2017年に6.7%、2018年に6.2%と年々拡大を続けています。このような好調な経済成長と比例して不動産価格もアップし続けています。
これはフィリピン人口が2092年まで増加し続けることによる労働力の確保と、人口増加による住宅不足、平均所得の上昇という3つの理由からです。マニラ首都圏の人口も順調に増えているため今後の不動産需要も大いに期待できるのではないでしょうか。
フィリピンのオフィス需要が高まる
かつて人口に比べて仕事先が少なかったフィリピンでは、政府が1982年に設立した海外雇用庁により海外への出稼ぎ労働者が一気に増えました。一時期はフィリピン国内のGDPの10%を彼ら出稼ぎ労働者の仕送りが占めるまでになりました。しかし今度は国内での労働力不足が課題となり、政府主導で出稼ぎ労働者の呼び戻しが始まるようになりました。
またフィリピンは公用語が英語ということで、業務プロセスの一部を外部に委託するBPOサービス(Business Process Outsourcing)を行う企業の誘致が活発となっています。
このようなことから、フィリピン国内でのオフィス需要が高まっています。
上記のグラフからも内側の2017年に比べて外側2018年のBPO企業のオフィス賃貸が目立ってきたことが分かりますね。それだけオフィス賃貸の需要が増えており、今後もオフィスの供給量が増えてくることが予測されます。
不動産業界では住宅の供給が落ち着くと、次に必要になるのはオフィスの確保。フィリピンの場合これがきちんと順序良く行われていることが分かりますね。今はまだオフィスが足りない状況だと言われていますが、今後の経済成長に伴い徐々に整備されていくことが期待されます。
外国人の投資はコンドミニアムが主流
フィリピンでは外国人が土地を購入することができません。これは法律によって厳しく運用されていて国有地・私有地関わらず禁止されているため。これは海外から絶えず侵略されてきたフィリピンの歴史によるものだと考えられます。
そのため外国人が購入できるのは主としてコンドミニアムになりますが、外国人が他人に貸し出すことは可能です。フィリピンの不動産登記制度では土地と建物それぞれが登記対象となり、コンドミニアムの所有者として外国人でも登記できます。
ただしフィリピンで外国人が所有できるのは、一つの建物の全部屋数のうち40%以内と細かく決められています。
不動産投資にかかる税金などの出費が多い
- 付加価値税…約320万ペソ以上の不動産を購入する際にかかる(税率12%)。
- 印紙税…契約金額が1,000ペソ以上の場合、1,000ペソあたり15ペソ。
- 固定資産税…不動産を所有した際、自治体によって異なる税率がかかる。州の場合は1%、市やマニラ首都圏内の自治区は2%未満。さらに不動産評価額に対して1%の加算がある。
- 個人所得税…賃貸運用で得た収入に対して、滞在期間180日未満の外国人非居住者は25%。180日以上の外国人非移住者は5~32%の税金が課せられる。
- 譲渡取得税…不動産売却価格に対して6%。
いくら不動産価格が安いからと言って安心せず、不動産を取得する際や賃貸で収入を得た場合、不動産を譲渡するときにこのような税金が課せられることを覚えておきましょう。
フィリピン国内の不動産価格について
次にフィリピン国内の不動産価格の推移や他国との比較について見ていきましょう。
これまで解説してきた通りフィリピン国内では、不動産価格の上昇が期待されます。これからご紹介する表やグラフはそれを裏付けるものとなります。
マニラ首都圏の地価の推移
下の表はマニラ首都圏における2016年~2018年の間の地価の推移です。
全体的に堅調に推移していますが、もともと地価が安くカジノで土地の需要が急増したベイシティの上昇率が目立っているのが分かります。
これはカジノの存在が大きくかかわっていると思われます。ベイシティにはマニラのカジノリゾートとして、カジノ第一号「ソレア・リゾート・アンド・カジノ」をはじめとするカジノ施設が併設されたホテルが数多く建設されています。
先ほどご紹介した通りフィリピン国内の土地は外国人が購入できないため、上記の数字はあくまでフィリピン国民の需要による値上がりだといえます。
ここからフィリピンの地価の推移が長期的な上昇の入り口段階だと考えらます。将来政府による規制が緩和されれば海外からの投資マネーが参入し、さらなる地価上昇が期待できるのではないでしょうか。
コンドミニアムの住宅不動産価格指数(PREPI)
アジア各国と比較したフィリピンのコンドミニアム価格は?
- 出典:
- Global Property Guide
このグラフからはフィリピンの住宅価格が日本のわずか4分の1程度だということが分かります。首都のあるマニラ首都圏でも世界で第37位の住宅価格となっています。このことからもフィリピンの不動産価格はまだまだ伸びしろがあるといえるのではないでしょうか?
インドネシアやマレーシア、カンボジアなどほかの東南アジア諸国との比較では、フィリピンが若干高めとなっていますが大きく差があるわけではありません。このことからもフィリピンの住宅価格は現在のところ適正だと言えます。
まとめ
今回はフィリピンの不動産市況から、フィリピンが不動産投資先としてふさわしいかを検証してきました。
フィリピンでは人口増加と共に住宅供給需要が高まり、BPO企業によるオフィス賃貸も増加傾向にあります。ここからもフィリピンの不動産価格はますます高まると予想されます。
また日本からのアクセスがよく温暖で英語が通じるフィリピンは、高級コンドミニアムを割安に買えることから海外で優雅にリゾートライフを過ごしたい人にとっては魅力的な投資先なのではないでしょうか?