日本の8割ほどの広さの国土に約1億人が住んでいるフィリピンでは、どのような人口の分布や人口の推移をしているのでしょうか?
日本では人口が減少している割には高齢者の数が増え、「超」が付くほどの高齢化社会を迎えつつあります。一方のフィリピンでは、実は今後人口の爆発を迎えていると言われています。なんと2025年から2030年の間には日本の人口を抜くのではないかとの予想も。
そんなフィリピンの主要都市における人口分布や世代ごとの人口、今後の人口の推移を解説していきます。
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目次
フィリピンの基礎知識
東南アジアのフィリピン共和国は日本と同じ島国です。大小7千以上もの島々からなり、首都はマニラ。
もともとはマレー民族が住んでいた場所に、1565年スペインから来た征服者ミゲル・ロペス・デ・レガスピによってフィリピンの植民地化が始まりました。
1899年にはフィリピンの初代大統領によって独立宣言が出されましたが、その後アメリカの統治下におかれ、第二次世界大戦では日本の占領下に入りました。
1945年の日本敗戦に伴いフィリピンは再独立を果たし、数々の革命や紛争ののちに現在の形である、大統領を元首とする共和国制となりました。
フィリピンの3エリアにおける人口分布について
それでは本題である、フィリピンの人口分布について見ていきましょう。フィリピンは大きく分けると、ルソン地域・ビサヤ地域・ミンダナオ地域という3つのエリアに分けられます。
そこからさらに18の地方があり、それぞれの地方には合計で81の州があります。その州の中にも市や町が置かれています。
今回は一番大きな3エリアごとにそれぞれの主要都市の人口を見ていきましょう。
ルソン地域主要都市の人口分布
フィリピンの北、ルソン島を中心とするのがこちらのルソン地域です。フィリピンの首都マニラがある地域として、コルデリェラ行政地区のほかにもフィリピンで最も人口が多いケソンなどの都市があります。
ルソン島はフィリピンの総面積の約35%を占め、フィリピンの政治経済の中心地として、いま最も開発が進んでいる地域。
特に首都圏「メトロ・マニラ」は17の都市で構成されている場所です。フィリピンの経済や政治、文化の中心を担い、東京23区よりやや広めの面積の土地に東京23区を上回る人口が密集しています。
さらにその周辺の都市部を含めると人口は2000万人を超える、世界第5位の大都市圏になります。
このように近年特に人口が集中し、多くの外資系企業なども進出しているため給与水準も高いのが特徴です。土地の価格も高騰し、今後の不動産価値上昇も大いに期待できる地域となっています。
ビサヤ地域主要都市の人口分布
フィリピン諸島の中部に位置するビサヤ諸島が主な地域です。構成する大きな島は西からパナイ島・ネグロス島・セブ島・レイテ島・サマール島など。
こちらのビサヤ地域には最近急成長を遂げる都市、セブがあります。日本人にも人気のリゾート島・セブ島の最大都市で、現在は「メトロ・セブ」としてマニラ首都圏に次ぐ大都市圏を形成しています。
セブ島とその周辺の小島で形成されているメトロ・セブは、2010年の人口が255万人を突破。
フィリピン政府によって公式に設立された都市圏として、セブ島の政治経済の中心地でもあります。
セブ島は特にビーチリゾートや観光の島として、観光客相手のショッピングモールやリゾートホテル、コンドミニアムなどが続々建設。こちらも地価の高騰や人口の増加、都市の発展がますます期待できる地域となっています。
ミンダナオ地域主要都市の人口分布
フィリピンの南部にあるミンダナオ島を中心とする地域です。こちらのミンダナオ島はルソン島に次いでフィリピンで二番目に大きい島として知られています。
ミンダナオ島の西海岸から中北部にかけては、フィリピン最高峰の火山・アポ山をはじめとする標高2,000m級の山々が、中央ミンダナオ高地にそびえています。
マニラ首都圏やメトロ・セブに次ぐ国内第三位の人口を抱えるダバオをはじめとして、サンボアンガやガガヤン・デ・オロなどの都市でも人口が増えつつあります。
イスラム教徒の数が人口の2割以上と、フィリピンの国内では圧倒的に多いのもここミンダナオ地域の特徴。ミンダナオ島ダパオ市出身のドゥテルテ氏が2016年に大統領に就任すると、ミンダナオ地域の犯罪や薬物汚染、汚職対策などを重点課題にしました。
主な産業はバナナやパイナップルなどの農業や、漁業など。最近は北部カミギン島が新たなビーチリゾートやダイビングスポットとして注目されています。
フィリピンの世代別人口推移について
次にフィリピンの世代別人口推移を見ていきましょう。
人口の男女別年齢ごとにグラフ化したものを「人口ピラミッド」と呼びます。中央を縦軸として、一番下が0歳児、一番頂点を最高齢者としたものです。
通常は出生数が一番多く、年齢が上がるにつれてだんだん人口が少なくなってピラミッド形になるのが理想形とされています。日本をはじめとする先進国は少子化や医療の発展によりこのピラミッド形がいびつな釣り鐘形やつぼ形に変形。
一方のフィリピンはきれいなピラミッド形をしているのが特徴的です。
ピラミッド型をしているということからも分かる通り、若年層に行くにしたがって人口が多いことが見てとれます。
そして2014年にはフィリピンで初めて人口が1億人を超えました。やはり若年層が多いと全体の人口も順調に増えるということがここからも分かりますね。
フィリピンのこれからの人口ピラミッドはどうなる?
2020年現在、フィリピンの人口は1億958万人と毎年増加傾向にあります。というのもフィリピンの人口増加率は年間1.69%と非常に高く、毎年180~200万人規模で増加しているためです。
そしてこの20年弱で約3,000万人もの人口増加があったというから驚きです。
フィリピンの人口が今後も増える要因としては、出産年齢とされる15歳から49歳までの女性が多いことがあげられます。このため2100年まではフィリピンで人口増加傾向が続くと予測されているのです。
また前項でも解説しましたが、フィリピンの人口ピラミッドはきれいな三角形をしていることが特徴です。高齢化が進む日本の平均年齢が46.7歳であるのと比べると、フィリピンの平均年齢は24.3歳と若年層の人口が多いことが分かります。
このことからもフィリピンの人口はますます増え続けることでいずれ労働力となり、フィリピン経済の成長にも大きく寄与することが確実視されています。
フィリピンの経済はこの数年で大きく成長し、ほかのアセアン諸国と比べても6~7%と高い成長率で推移しています。フィリピンの主要な業種である飲食や観光に携わるサービス業にも多くの若者が従事し、その労働力でフィリピン経済を支えています。
それと同時にフィリピン都市部での人口増加は加速され、都市圏の開発が喫緊の課題となっています。特にセブ島では、隣町とをつなぐ大きな道路を日本の協力の元に建設されていることからも読み取れるのではないでしょうか。
このようにフィリピンでは人口増加に伴う都市の開発が、今急ピッチで行われていることが分かります。
まとめ
今回はフィリピン主要都市の人口分布や、フィリピンの年代別人口ピラミッドについて見てきました。
フィリピンの急激な経済成長を支えているのは、豊富な労働力だったんですね。日本と違い若い人が多いのも国が大きく発展するためには重要です。
特にマニラにある経済の中心地「マカティ市」には外資系の企業も数多く移転しています。こうした人口増加に伴うコンドミニアムをはじめとする住宅も続々建設されています。
リゾートや観光で盛り上がるのは「メトロ・セブ」です。こちらも観光客向けの大規模ショッピングモールやホテル、移住者向け住宅が作られています。
このようにフィリピンの人口は若年層を中心にまだまだ増え続け、労働力が確保できることからフィリピン経済も右肩上がりの成長を続けるだろうと予測されます。