フィリピンをはじめとする海外不動産を投資対象にする大きなメリットの一つに、節税効果があるという点が挙げられます。
しかしなぜ国内の不動産ではなく海外の不動産が節税になるのかご存知ですか?
今回は海外不動産が節税に向いている理由や、節税に関する注意点などを解説。節税対策にフィリピン不動産をお考えの方は、ぜひ参考にして下さい。
目次
フィリピンの不動産投資が節税になる4つのポイント
初めにフィリピンの不動産投資がなぜ節税になるか?について4つのポイントから見ていきましょう。
これからご紹介するポイントはフィリピン以外の外国不動産にも当てはまります。
フィリピン不動産で得た所得は国内の課税所得と合算できる
節税ポイントの第一として、フィリピンをはじめとする海外不動産で得た所得は、日本の課税所得と合算できるという点があります。
現在まで通算して1年以上日本に居住している個人は、日本の税制で所得税を納付しなければなりません。サラリーマンの場合は年末調整で税額が調整されますが、不動産投資などで副収入がある場合や個人事業主は確定申告により所得税を確定し、納税する必要があります。
その確定申告では日本国内で得た所得にプラスして、海外の不動産で得た家賃収入(インカムゲイン)や売却益(キャピタルゲイン)も合算できます。
所得が増えればそれだけ所得税も多く取られるのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、フィリピンで得た所得だけでなく物件購入や維持にかかる経費も同じように合算できるという理由からです。
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フィリピン不動産投資による所得税は外国税額控除が受けられる
外国の不動産投資を行うと「外国税額控除」という所得控除が受けられます。
そもそも所得税が課税されるのは総収入から必要経費や所得控除を差し引いた所得です。フィリピンの不動産で得られた家賃収入に対してはフィリピン国内で課税され、それを税金として納めています。日本でも国内外問わず所得があれば所得税を納めなくてはいけませんね。
そこで所得税の二重課税が発生するのを防ぐために「外国税額控除」という制度があります。
外国で納めた税金は日本の所得税から差し引き、確定申告で還付してもらるという仕組み。外国税額控除には限度額があり、このような計算式で算出します。
国内外の所得税額×(国外所得税額÷所得総額)=外国税額控除限度額
例えば国内外の総所得の中でフィリピン含む外国で得た所得が5割であれば、所得税の5割相当額までを控除できることになります。
フィリピンは日本と租税条約を結んでいるため、この外国税額控除が受けられます。
不動産投資でかかった費用は経費として認められる
前項でご説明した通り、所得税は総所得から控除や必要経費を差し引いた額に課税されます。
この必要経費にはフィリピン不動産購入時や物件管理のための経費も含まれています。
- ・租税公課(購入時の付加価値税や売却時の固定資産売却益税・印紙税)
- ・損害保険料
- ・減価償却費
- ・借入金の利息
- ・不動産管理費
- ・不動産修繕費
- ・接待交通費
- ・通信費
- ・新聞図書費
- ・消耗品費
- ・税理士や弁護士への依頼費用
海外では物件にかかる損害保険料は賃借人ではなく、その物件のオーナーが支払う場合がほとんどのため控除の対象となります。また物件の視察に伴う渡航費なども交通費として計上できるのも大きなメリットとなりますね。
フィリピン不動産は減価償却費が高い
フィリピン不動産が節税になる最後のポイントは、減価償却費が高いということです。
前項の経費では控除対象に「減価償却費」という項目があります。この減価償却とは経年で減少していく不動産の価値を、その不動産の取得費÷耐用年数で按分して費用として計上することです。
この減価償却の耐用年数は国税庁で制定された「法定耐用年数」を適用。これはフィリピンの不動産にも同じように適用されます。
ここで重要となるのは土地と建物の減価償却割合です。日本では土地付き建物を取得した時の比率は土地の割合が多いのがほとんど。特に中古物件を購入した場合は建物の比率が一層下がり、減価償却できる経費もほとんどありません。
しかしフィリピンの不動産に関しては、外国人は土地の購入を禁止されているため購入できるのはコンドミニアムということになります。
フィリピンのコンドミニアム法では不動産の取得費用はすべて建物分として申告できるという理由から、節税効果が大いに期待できるのです。
フィリピンの不動産投資で節税する際の注意点
ではフィリピンの不動産投資で節税する場合の注意点は何でしょうか?せっかく節税だと思っていても、ちょっとしたミスで損をしないように気を付けましょう。
フィリピンで納めた所得税は外国税額控除にする
フィリピンで納めた所得税は外国税額控除に計上すると先ほどご説明しましたが、一般経費として計上することも可能です。しかしこの場合還付金額が外国税額控除するよりも少なくなってしまいます。また海外所得の所得税は経費計上か外国税額控除のどちらかに統一するという決まりがあります。
そのためフィリピンをはじめとする海外所得の所得税は、外国税額控除に統一するようにしましょう。
税制改正による規制に注意
毎年実施されている税制改正では、海外所得に関する規制が行われる場合もあります。今後の動向次第では、減価償却の計算方法などで節税効果が薄れてしまうことも。
例えば2019年12月に発表された「令和2年税制改正大綱」では、2021年以降は所得について、経費と所得を計算して赤字になった場合は減価償却費を経費として計上できないと変更されました。つまり赤字の海外不動産所得を他の所得と相殺できないということになります。
その代わりとして、譲渡時に計上する償却費の累計から上記の減価償却費を差し引くことが可能になりました。
このような税制改正が今後も行われることが考えられるため、規制の動向には気を配っておきましょう。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/index.htm
物件売却時の注意点
減価償却費は所得税を下げるための大きなポイントとなりますが、物件を売却する際には注意が必要となります。
売却時の税金は売却額から購入金額を差し引いた売却益に応じて決められます。このとき減価償却費が大きいと、償却後の購入金額も下がってしまいます。結果として売却益が高くなり、それに応じた税金を多く収めることに。
特に短期での売却には高いキャピタルゲイン税が加算されるため、節税効果が低減しないか事前のチェックが必要となります。またこのキャピタルゲイン税は複数物件分を合算することはできません。他の物件の赤字分と相殺することができないことも覚えておきましょう。
フィリピンの不動産投資時にできる節税とは?まとめ
今回はフィリピン不動産投資時にできる節税について解説してきました。
外国で得た所得であっても日本国内での確定申告が必要となり、所得税は一括して外国税額控除にするとお得になります。
また税制改正なども随時チェックして、節税効果がマイナスとならないように気を付けましょう。