目次
フィリピンの不動産についての基礎知識
フィリピン不動産の登記制度について
フィリピンには日本と同様、不動産には登記制度があります。土地やコンドミニアムなどの建物が登記の対象となっています。フィリピンでは日本の場合の司法書士の代わりに、不動産鑑定士がこれら不動産の登記を行っています。
フィリピンでは外国人はフィリピンの土地を売買することはできません。つまり日本人が売買できるのはコンドミニアムなどのユニット(部屋)単位となります。コンドミニアムの登記後に土地登記局より発行されるユニットごとの権利書は、売却手続きの際にも必要になりますのであらかじめ準備しておきましょう。
フィリピンで不動産を売却する方法
そしてフィリピンで不動産を売却するには主に二つの方法があります。
フィリピンでは日本のように不動産売買を手伝ってくれる不動産仲介業者という業態がありません。したがって自分で新聞や不動産売買情報誌に広告を出すか、不動産売買仲介ができるライセンス保有者に依頼する方法のみとなります。
このようにエージェントに依頼する場合には手数料を売却額の数パーセント程度、成功報酬として売買契約が締結された後に支払う形となります。
プレビルド物件の売却タイミングについて
フィリピン不動産を売却する際にかかる諸経費
- 固定資産売却益税・・・物件売却額の6%
- 印紙税・・・物件売却額の1.5%(ただし買主との契約による)
- 不動産仲介手数料・・・仲介業者に支払う手数料(3~5%)
- 不動産名義書き換え費用・・・75,000ペソ
フィリピンの不動産を売却する場合は、諸々の諸経費を合計して売価の20~25%くらいの金額がかかることを覚えておきましょう。
さらに場合によっては間に弁護士に入ってもらうこともあります。その際には弁護士費用が追加でかかります。
フィリピン不動産を売却するのに必要な書類とは
次にフィリピン不動産を売却するのに必要な書類をご説明します。これからご紹介する書類は必要最低限のものですので、実際に売却する際には仲介業者などにご確認下さい。
1.ID(身分証明書)・・・日本人の場合はパスポートがIDになります
2.Deeds of Absolute Sale (DOAS)・・・売買契約書
3.Condominium Certificate of Title(CCT)・・・土地登記局より発行されるコンドミニアムのユニットごとの権利証書
4.Tax Declaration・・・納税証明書
5.CertificateAuthorizing Registration(CAR)・・・売主の税務署が発行する権利移転許可証
6.Certificate of Management, Certificate of Non Tenancy・・・コンドミニアムの管理組合による管理費の未払いがないことの証明書
7.Real Property Tax (RPT)・・・固定資産税支払い領収書
8.Capital Gain Tax, Doc Stamp Tax, Transfer Tax,Registration Fee・・・不動産取引に伴う税金の証明書
フィリピン不動産の売却に必要な書類はすべて公用語である英語表記となります。契約書の内容に少しでも不備がある場合は、余分なペナルティが課せられることも。そのようなことが無いよう、仲介業者にキチンと売買契約書の内容を確認してもらいましょう。
フィリピン不動産を売却する手順とは?
エージェントと契約を結ぶ
・不動産売却価格などの条件
・仲介手数料のパーセンテージ
・独占的(非独占的)売却権を与えるかどうか
ここまで決まったらエージェントはあなたの代理人として、実際に不動産を売却するための行動に移ります。
フィリピン不動産を売却する流れ
エージェントと売主の双方が上記内容に合意した後、エージェントは物件を売却するために次のような流れで進んでいきます。
1.売却物件に貸付や抵当権の設定、差し押さえがないか書類を見てチェックする。
2.不動産の市場価値評価のため立地や床面積、築年数や設備などから資産価値を算出する。
3.最終的な売却価格を決め、物件をインターネット上に公開。
4.購入希望者が出たら、物件見学の案内をする。
5.購入者が決定したらLetter of intent(予備的合意書=LOI)を購入者と売主が交わす。このLOIは契約書と同じくらいの拘束力があるため、取り扱いに注意する。
6.購入者が支払った手付金を売主が受け取る。(購入者に契約の不履行が生じた場合は返金義務が生じない。)
7.不動産に関する所有権移転手続きのため、売主と共に前項で紹介した必要書類を準備する。
8.手数料や税金など、不動産売却手続きに必要な費用を支払う。
9.売主・買主双方が売買契約書にサインし、売買契約が締結される。
10.公証役場で売買契約書サインの公証を受け、第三者への公開文書としてみなされる。
11.財産税の納付義務の移転を行い、新しい納税申告書が買主の名前で公開されることを確認する。
上記の手順に従って不動産を売却する手続きが完了するのは、フィリピンでは半年以上かかる場合があります。日本のマンションでは早ければ2か月程度で売却が完了するのに比べると、ずいぶん時間がかかるイメージがあります。しかし不動産売却のためには根気強く手続きを進める必要があります。
まとめ
フィリピンで不動産を売却するには英語で表記された書類が必要で、日本と異なる手順で行います。
また日本にはないプレビルド物件を売る際には売却時期を考慮する必要があるなど、フィリピンならではの不動産事情を知っておきましょう。
いずれにせよフィリピンでの不動産売却をスムーズにするには、信頼できるエージェントを見つけることが大切です。
あなたの資産である不動産をスムーズに売却できるよう、フィリピンの不動産取引に関する情報をしっかり仕入れておきましょう。