購入したフィリピンの不動産を売却する手段と手順

フィリピンでは、コンドミニアムをはじめとする不動産投資が活発に行われています。リタイア後のロングステイ先や経済成長を見越した投資先として、日本人にも人気のフィリピン不動産。 今回はフィリピン不動産を売却する際の方法や手順をご紹介していきます。

目次

フィリピンの不動産についての基礎知識


フィリピン不動産の売却方法をご紹介する前に、フィリピンの不動産事情について少しご説明していきます。これからフィリピンで不動産投資を始めようとお考えの方は、ぜひ参考にして下さい。

フィリピン不動産の登記制度について

フィリピンには日本と同様、不動産には登記制度があります。土地やコンドミニアムなどの建物が登記の対象となっています。フィリピンでは日本の場合の司法書士の代わりに、不動産鑑定士がこれら不動産の登記を行っています。

フィリピンでは外国人はフィリピンの土地を売買することはできません。つまり日本人が売買できるのはコンドミニアムなどのユニット(部屋)単位となります。コンドミニアムの登記後に土地登記局より発行されるユニットごとの権利書は、売却手続きの際にも必要になりますのであらかじめ準備しておきましょう。

フィリピンで不動産を売却する方法

そしてフィリピンで不動産を売却するには主に二つの方法があります。

フィリピンでは日本のように不動産売買を手伝ってくれる不動産仲介業者という業態がありません。したがって自分で新聞や不動産売買情報誌に広告を出すか、不動産売買仲介ができるライセンス保有者に依頼する方法のみとなります。

このようにエージェントに依頼する場合には手数料を売却額の数パーセント程度、成功報酬として売買契約が締結された後に支払う形となります。

プレビルド物件の売却タイミングについて

手付金を分割払いで購入できるプレビルド物件は、月々数万円という少額の支払いでもコンドミニアムが購入できると日本人投資家にも人気です。 しかしそのプレビルド物件をいつ売却するかのタイミングを見極める必要があります。というのも建物完成後すぐに転売する場合は、登記に時間がかかるということを考慮する必要があるためです。 フィリピンでは建物完成後1年以上経ってから不動産の登記手続きが完了するというケースがあります。そして所有権の主張ができる権利書が自分の手元に届くまでは、思うように購入希望者が付かないことがほとんどです。 そのため権利書を手に入れるまでの間、自分で住むか短期での賃貸に出すかをあらかじめ考えておきましょう。 また建物完成前の転売は、自分に所有権がないままでの売却となってしまいます。よってデベロッパーとの契約名義人変更手続きを行わなければなりません。 デベロッパーによって手続き方法や対応の仕方が異なるため、あらかじめ確認が必要になります。

フィリピン不動産を売却する際にかかる諸経費


フィリピン不動産を売却する際には、税金や手数料をはじめとする諸経費がかかります。主な税金や諸経費については以下の通りです。

フィリピンの不動産を売却する場合は、諸々の諸経費を合計して売価の20~25%くらいの金額がかかることを覚えておきましょう。

さらに場合によっては間に弁護士に入ってもらうこともあります。その際には弁護士費用が追加でかかります。

フィリピン不動産を売却するのに必要な書類とは


次にフィリピン不動産を売却するのに必要な書類をご説明します。これからご紹介する書類は必要最低限のものですので、実際に売却する際には仲介業者などにご確認下さい。

1.ID(身分証明書)・・・日本人の場合はパスポートがIDになります
Deeds of Absolute Sale (DOAS)・・・売買契約書
Condominium Certificate of Title(CCT)・・・土地登記局より発行されるコンドミニアムのユニットごとの権利証書
Tax Declaration・・・納税証明書
CertificateAuthorizing Registration(CAR)・・・売主の税務署が発行する権利移転許可証
Certificate of Management, Certificate of Non Tenancy・・・コンドミニアムの管理組合による管理費の未払いがないことの証明書
Real Property Tax (RPT)・・・固定資産税支払い領収書
Capital Gain Tax, Doc Stamp Tax, Transfer Tax,Registration Fee・・・不動産取引に伴う税金の証明書

フィリピン不動産の売却に必要な書類はすべて公用語である英語表記となります。契約書の内容に少しでも不備がある場合は、余分なペナルティが課せられることも。そのようなことが無いよう、仲介業者にキチンと売買契約書の内容を確認してもらいましょう。

フィリピン不動産を売却する手順とは?


パスポート
では実際にフィリピン不動産の売却の流れを見ていきましょう。フィリピンで不動産を売買する前にはまず、信頼できる仲介業者(エージェント)を探さなければなりません。 もちろん当社に全ておまかせいただくことも可能です。

エージェントと契約を結ぶ

エージェントが見つかったら、双方で次のような取り決めを行います。
・不動産売却価格などの条件
・仲介手数料のパーセンテージ
・独占的(非独占的)売却権を与えるかどうか

ここまで決まったらエージェントはあなたの代理人として、実際に不動産を売却するための行動に移ります。

フィリピン不動産を売却する流れ

エージェントと売主の双方が上記内容に合意した後、エージェントは物件を売却するために次のような流れで進んでいきます。

1.売却物件に貸付や抵当権の設定、差し押さえがないか書類を見てチェックする。
2.不動産の市場価値評価のため立地や床面積、築年数や設備などから資産価値を算出する。
3.最終的な売却価格を決め、物件をインターネット上に公開。
4.購入希望者が出たら、物件見学の案内をする。
5.購入者が決定したらLetter of intent(予備的合意書=LOI)を購入者と売主が交わす。このLOIは契約書と同じくらいの拘束力があるため、取り扱いに注意する。
購入者が支払った手付金を売主が受け取る。(購入者に契約の不履行が生じた場合は返金義務が生じない。)
7.不動産に関する所有権移転手続きのため、売主と共に前項で紹介した必要書類を準備する。
8.手数料や税金など、不動産売却手続きに必要な費用を支払う。
9.売主・買主双方が売買契約書にサインし、売買契約が締結される。
10.公証役場で売買契約書サインの公証を受け、第三者への公開文書としてみなされる。
11.財産税の納付義務の移転を行い、新しい納税申告書が買主の名前で公開されることを確認する。

上記の手順に従って不動産を売却する手続きが完了するのは、フィリピンでは半年以上かかる場合があります。日本のマンションでは早ければ2か月程度で売却が完了するのに比べると、ずいぶん時間がかかるイメージがあります。しかし不動産売却のためには根気強く手続きを進める必要があります。

まとめ


フィリピンで不動産を売却するには英語で表記された書類が必要で、日本と異なる手順で行います。

また日本にはないプレビルド物件を売る際には売却時期を考慮する必要があるなど、フィリピンならではの不動産事情を知っておきましょう。

いずれにせよフィリピンでの不動産売却をスムーズにするには、信頼できるエージェントを見つけることが大切です。

あなたの資産である不動産をスムーズに売却できるよう、フィリピンの不動産取引に関する情報をしっかり仕入れておきましょう。

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